アクワイア(ACQUIRE) No.33 武経七書に学ぶ。司馬法編 -3選-

アクワイア(ACQUIRE)の話 その33_アイキャッチアクワイア(ACQUIRE)

お疲れ様です。 自称:アクワイア研究家 のだじゅらく と申します。

とにかくアクワイアで勝ちたい。
いや、少なくとも負けたくない。

今回は武経七書の1つ司馬法しばほうから、アクワイアに活かせるものを取り上げたいと思います。
戦略や戦術があらゆる選択で有利になりますように…。
また、今回の記述内容は戦争の存在を否定や容認、利用する内容ではないことを改めてお伝えします。

「司馬法」(しばほう)とは?

司馬法という兵法書は司馬穰苴しばじょうしょによって書かれた軍政や戦争に関する様々な規定や心得のたぐいを記録したものが始まりと言われています。中国の戦国時代になってせいの国で整理されました。

なぜ、せいの国かというと、国の始祖は名軍師と言われた「太公望たいこうぼう」です。
ゲームや小説など、どこかでその名を聞いたことはある人はいるかもしれませんね。
せい」の始祖となる伝説の人物です。
軍師が建てた国が兵法書をまとめないわけがありませんね?
ちなみに「孫子」の作者「孫武」もせいの国出身です。

司馬法しばほう」は当初は155篇ありましたが、現代に伝わるのは5篇しか残っていません。

5篇は何?

仁本じんぽん」「天子之義てんしのぎ」「定爵ていしゃく」「厳位げんい」「用衆ようしゅう」の5つです。

現存している部分は兵法そのものよりもむしろ戦争における儀礼的なことを書いた部分が多いのが特徴です。また、戦いをもって戦いを無くすことを目的と考える戦争観にあります。

「孫子」でも、「呉子」でも、敵に隙があれば、すかさず攻撃する記述がありますが、
「司馬法」では陣形の整わない敵に向かうことは卑怯と考えている節や敵に対して情けをかけるべきだとあります。
ただ、悲しいかな。春秋戦国時代ではすでに、時代遅れの考え方だったかもしれません。

まとめると…。
1.戦いをみだりに起こすものではないが、備えをおざなりにすることは許されない。
2.政治においても、軍事においても、組織に対する締め付けは厳しすぎてもいけないし、ゆる過ぎてもならない。
3.政治と軍事の「礼」をはっきりと区別して、しきたりや慣習を持ち込むな。

まるで武士の作法のように

・同じ身分でしか戦わない。
・敗者を辱めない。
・勝敗は時の運である。
・正々堂々の勝負が終われば、禍根を残さない。

自身の中に1本のすじを持つ生き方はカッコいいですね。

ただ、それができるのも備えをおざなりにしないで力を持っているからできることだと考えています。
儀礼を重んじる「司馬法しばほう」にも学ぶところはあります。

さて、本題に移りましょう。

アクワイアで活きる「司馬法」の教え -3選-

「義を争い利を争わず。ここを以ってその義を明らかにするなり」(仁本篇)

意味:大義だけを争い、利益を争わない。これで「義」に則っていることを示した。

アクワイア(ACQUIRE)はそもそもボードゲームです。
ゲームには明確なルールがあり、真の目的は勝利することではありません。
楽しい時間を共有することです。
その延長線上に勝ち負けがあるに過ぎません。

「司馬法」では敗走する敵を100歩以上は追撃せず、戦闘不能の敵は止めを刺さず、敵の陣列がそろうまでは戦わない。
降伏した敵は快く許し、開戦後には終わらせる潮時をわきまえる。
良し悪しよりも仁義や道理を重視した教えです。

ただ、これを行った結果…。
泓水の戦いおうすいのたたかい」で宋の軍は総崩れし、宋襄の仁(そうじょうのじん)という故事となったのは皮肉な話です。(不必要に情けをかけて、その結果、自分が痛い目に遭うこと。)

ボードゲームも同じで接待だろうが本気だろうが、バランスが重要です。

兵(へい)、雑(まじ)えざれば、則ち利ならず。(天子之義篇)

意味:武器には様々な用途のモノを取り混ぜて使わなければ実戦の役に立たない。

スポーツや賭け、あらゆる勝負事において、持っている様々な武器の長所を活かし、上手く組み合わせて使う。これがコツだと説いています。

個人的には宮本武蔵の「五輪書」に繋がるものを感じます。
槍、太刀、脇差、鉄砲、弓。それぞれがどんな場面で最も力を発揮するのかを理解すべし。
そんな印象です。

さて、アクワイア(ACQUIRE)ではどうでしょう?
現金、株券、立地、保有する建物タイル、他のプレイヤー
手番中にできることは少なく感じますが、それぞれがどんな場面で最も力を発揮するのかを覚えましょう。

現金は他者が株券を買えないときに最も効力を発揮します。
株券は吸収合併の際に最も効力を発揮します。
立地は他のホテルとの関係で変化しますが、終盤まで残るホテルは独立し大きくなったホテルです。
建物タイルは自身のポジションによっては最も効力を発揮します。
他プレイヤーの状況を知れれば次に考える手が見えてきます。

全ての事はつながっています。

戦いは軽重(けいちょう)を相為(あいな)す。(厳位篇)

意味:戦いにおいて、軽装備と重装備を使い分けなければならない。
機動力(軽装備)と防御力(重装備)を組み合わせるべし。

ちなみに文言の前には軽装備と重装備の相性を語っています。

軽装備同士では被害が大きくなる。重装備同士でも被害が大きくなる。
重装備で軽装備を相手すれば、勝てるが機動力が低いので攻めきれない。
(遭遇したらすかさず攻撃せよ。)
軽装備は守りには適していないが、陽動や奇襲でかく乱できる。
(機動性を活かして相手の「虚」を突く。)

アクワイア(ACQUIRE)においては現金と株券のバランスです。
現実ではポートフォリオ(資産の割合)と言います。アレンジルールとは別です。
現金100%も株券100%も危険な状態であると言えます。

現金だけでは長期的なインフレに対応できない。(株価上昇や吸収合併)
株券だけでは必要な時に現金を用意できないリスクがある。(機会損失)

特に序盤は3枚買わない。
$1,500程度残して1周待つことが選択肢に入るなら…あなたはアクワイア(ACQUIRE)上級者です。

蛇足 資産の分散について

現実でお金を持つ人たちは金、不動産、債券(国内外)、株券(国内外)、現金(円、外貨)等様々な分散を行い資産を補う方法が取られています。

国内の年金も国内の株式、債券。海外の株式、債券のそれぞれ25%ずつで構成されています。
https://www.gpif.go.jp/gpif/portfolio.html

ちなみにこの考え方は、世界が長い目で見て常に成長していくことを前提としています。
もし、常に右肩下がりの世界ならさっさと資産を売却して使った方が損が少ないからです。

商品やサービスの質が落ちても、供給量が少なくなるために値段は上がる。
……そんな世界は想像したくありませんね。こわや。こわや。

まとめ

今回は「司馬法しばほう」から3選挙げました。

ボードゲームはそもそも「仁と義」によって成り立つ。
様々な要素(現金、株券、ポジション)の長所を理解し組み合わせる。
流動性と破壊力の両方を合わせ持て。

まだ持っていないならアクワイアを是非!

ではまた次回。ごきげんよう。

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