ぬくみ温泉繁盛記はいわゆるワーカープレイスメントのボードゲームである。
ちなみに、遊び方によっては作成した旅館に温泉が無い時もある。
拡張版もあり、現在は品切れのようだ。人気ぶりがうかがえる。
スパ帝の「ナショナルエコノミー」も同じワーカープレイスメントのメカニクスに属する。
ワーカープレイスメントは一般的に、全プレイヤー共有のアクションボードに対し、各プレイヤーが順番に実行したいアクションのマスに対しコマを配置していくメカニクスです。
引用元:ボードゲーマ
自分好みの旅館を作り上げていくボードゲームで、テーマ性もわかりやすい。
いわゆる、負けたとしても楽しい純和風の国産ボードゲームである。
君は…良い旅館に滞在しているね。
ゲームマーケットの内容をそのまま引用すると…。
ゲーム概要
- どストレートなワーカープレイスメント。ワーカー3人固定
- ライト層からヘビー層まで楽しめる拡大再生産
- 盤面が変えられるし、カードが全てユニークなのでリプレイ性は高い
「ナショナルエコノミー」との違いはワーカーを増やせない点である。
また、資源獲得にサイコロを振るランダム要素があり、多少の運を含めようとする意図が垣間見える。
サイコロが12面なのは、何度か振ってその合計値で成果が変わる仕組みにしている。
何度か振るためにはカードを支払う必要がある。
カードとは助っ人カードの事で、仕入れの際や特殊能力で旅館運営を文字通り助けてくれる。
「ナショナルエコノミー」と似ているところがある。それは賃金を払う必要があることだ。
ただ、ありがたいことに現物資産を換金して払うこともできる。
現実では、月末の給料日に野菜や魚の現物で支払います。といったら張り倒されてしまうかもしれないがこの世界では優しい世界が広がっている。
仮に支払えなかったとしても評価点が下がる仕組みとなっている。
どのような状態であっても従業員は働いてくれる。雇用側にとっては非常にありがたいだろう。
同人版ではスタートプレイヤーマーカーの猫ちゃんが立体物らしく人気が高かったようだ。
製品版では製造の関係でチップに変更になっている。
お金や現物資産、建設時に消費する資材もチップとなっている。
基本的に拡大生産していくゲームはリプレイ性が高い。
また、勝利点にプラスになる「全体方針」や「個人方針」のカードがついている。
これにより、いくつかの勝ち方や方針が明確になり、その中でカードのシナジーやコンボを探したくなる。これで楽しくないわけがない。
無地のカードも入っているのでオリジナルの効果を作れるようにも配慮がされている。
「テラフォーミング・マーズ」もファンが自由にプロジェクトカードを作って公開していたりする。
良いゲームは元が面白いのだから、手を入れたくなるのが一定数いる人間の性なのだ。
取扱説明書もフルカラーでしっかりと情報が網羅されており全体的にプレイヤーに対してきめの細かい配慮がなされている。しかもカードに書かれている助っ人達の人物紹介までわざわざ同梱されている。
基本的に全プレイヤーの総資産が上がり続けるワーカープレイスメントは作る側にとっても、遊ぶ側にとっても良いことは「拡張性」の高さにある。
人気になれば、「拡張版」を出しやすく、内容の充実を比較的しやすい。
「テラフォーミング・マーズ」の「プレリュード」のように序盤の展開を早くしたり、追加のカードを用意したり、新たな勝利方針を提案できるからだ。
そして、ファンには受け入れられやすく、遊ぶ際には入れても入れなくても良いという配慮ができる。
遊びの幅が拡張されるのでよりのめり込める。win-winである。
ゲーム(物語の主人公)である以上は上がり続ける(成長)か、下がり続ける(衰退)かのどちらかでないといけない。
荒木飛呂彦先生もそう漫画術で残されている。
何はともあれ、ぬくみ温泉繁盛記は非常に良いゲームである。間違いない。
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