お疲れ様です。 のだじゅらく と申します。
今回はドイツで1981年に年間ボードゲーム大賞を受賞した
『フォーカス』の2人プレイを紹介します。
追記:3人や4人プレイは下に紹介します。
余談:フォーカスのまめ知識とアブストラクトゲームとは?
『フォーカス』(Focus)はアブストラクトゲームで唯一、年間ボードゲーム大賞を受賞しました。
発表されたのは1963年ですが、1981年に受賞したことを考えると…。
18年経ってからも評価されていたのが驚きです。
(「abstract」は英語で「抽象的な」という意味を持つ形容詞です。)
アブストラクトゲームとは一般的に、
将棋やチェスのような全ての情報が公開されプレイヤー間での情報格差と運要素が無いもの。
手の読み合いによって進行するゲームの事を指します。
棋士やチェスプレイヤーが先手と後手どちらの有利性や定石の研究をされていますよね?
運という不確定要素がないからこそ実力差が出やすいゲームになります。
また、「抽象的」ということで、ボードゲームにおいて「テーマ性が無い」とも言えます。
「テーマ性」とは、カタンやカルカソンヌを例に挙げると、
「入植した開拓者や古代フランスの領主として、他プレイヤーの誰よりも島や領地の支配者になる」
という「設定」があることです。
アクワイアだって、ホテルの投資家として誰よりもお金持ちになることを目指す「設定」があります。
では、フォーカス(Focus)はどうかというと、「情報格差」も「設定」も「運要素」もありません。
よって、フォーカス(Focus)はアブストラクトゲームです。
しかし、麻雀に「設定」はないものの、「情報格差」(運要素と手牌という非公開情報)はあるので、
麻雀はアブストラクトゲームではないということになります。
将棋やチェスはの場合は武将や騎士同士の戦いという「設定」(テーマ性)はありそうですが、
「情報格差」と「運要素」はありません。よってアブストラクトゲームです。
うむむ…。ややこしいですね。
ちなみにシド・サクソンがあげていた定義は
「完全に、またはほぼ完全にプレイヤーの技能 (skill) によって勝負が決まるもの」と
シド・サクソンの著作 “A Gamut of Games”(邦訳『シド・サクソンのゲーム大全』)にて記載があります。
■フォーカス(Focus)は入手困難…。でも作れる!
フォーカスのルールはチェスよりも簡単で
全てのルールは5分以内に習得できるが、
戦略をものとするには、一生をかけることができると言われています。
展開の早いゲームなのでいかがでしょうか?
ただ、悲しいことに…現在、国内で販売されていません。
海外の中古品等や国内のコレクターが出品した商品を見かける程度です…。
ですが!内容物もルールも簡単です。
ならば、コンポーネントを用意すればよい。
ということで、家にあったものを使って紹介します。
シンプルなゲームゆえに…。
名前が「Sid Saxon」(Sid Sacksonが正規)と記されている海賊版もあったようです。
ある意味で、当時の人気ぶりがうかがえますね。
情報元:A Tribute to Sid Sackson シド・サクソン・ギャラリー
■用意するもの
①4隅のないチェッカーボード
(下みたいなのでOKです。左右の黒と白はあくまで陣営を表示しているだけです。)
画像をクリックするとPDFが出ます。
もしも、チェス盤やチェッカーボードがあるなら、隅を隠せば問題なく代用できます。
A4の紙で印刷してしまうのも良いでしょう。クリアファイルに入れれば、強度もバッチリです。
②2人プレイなら 駒が2色×18個ずつ必要です。(4人用なら4色×13個)
代用でリバーシ(オセロ)を使うと裏表が難しくなるので注意です。(1敗)
本来であれば、表面がかみ合うものがいいと思います。(倒壊の原因に‥‥。)
ある意味指先の訓練にはなりそうですが、ポーカーチップが良いかもしれません。
その際は、印刷サイズに注意しましょう。
ポーカーチップは大きいので、A3ぐらいで印刷しないと上手くできないかもしれません。
■準備
上記のように駒を配置します。先手決めはじゃんけんでも何でも良いです。
■移動方法
1回分の移動は駒の積み重ね(通称:パイルと呼ぶ)に含まれる
駒の数と等しいマス数だけ移動できます。
ちなみに操作できるのは「支配」しているタイルだけです。
ポイント:「支配」の基準はボードを真上から見た際に見える色のプレイヤーです。
ちなみに…フォーカスの別名もある。
その名は「Domination」文字通り「支配」ですね。
元々はフォーカスのオリジナルは1963年に雑誌で発表されました。
その後、世界有数の盤ゲーム・メーカーとなる
ミルトン・ブラッドレー社(のちにハスブロ社と合併)は
1982年にゲームをより「ダイナミック」に感じさせるために
『ドミネーション』へと改名し、
3人プレイ用のルールが付属されて出版されました。
情報元:A Tribute to Sid Sackson シド・サクソン・ギャラリー
そのため、②の図では黒のプレイヤーがパイルを動かして、一番上が白になったため、
白のプレイヤーが3個積まれているパイルを「支配」している状態となります。
また、パイルを支配しているプレイヤーは、
そのパイルにある駒の数より少ないマス数を移動できます。
ただし、その場合は移動したいマス数分の個数だけ、パイルから切り離すことが必要です。
画像のように、4個のパイルで2マス飛ぶなら上側の2つを切り離してジャンプします。
高さが3個なら3マス飛びます。また、飛び越えられたパイルに影響は特にありません。
そして図はありませんが、5個なら5マス飛びます。1つのパイルには最大5個までです。
移動は直線方向のみで、上下左右の移動が可能です。斜め移動はできません。
つまり、ゲーム開始時は全ての駒の高さは1個なので1マス分だけ移動できます。
■捕獲と確保
ゲームの肝となる部分です。
移動させた結果、パイルの高さが5個を超えた場合、
5個を超過した分の駒は全て底から取り除かれます。
写真の場合は下から黒×1白×1が無くなります。
自分の駒なら「確保」相手の駒なら「捕獲」と呼びます。
つまり、白のプレイヤーは白を1つ「確保」黒を1つ「捕獲」しました。
・捕獲
捕獲した相手の駒はゲーム中使えなくなります(ゲームから除外)
・確保
確保した自分の駒は自身の脇に置いておきます。
後述しますが、その駒は再びゲームに参加できます。
■確保した駒を出すには
プレイヤーが確保駒を持っているなら、手番において、パイルを動かす代わりに
確保した駒を1個使用できます。※1度にまとめて出すことはできません。
ボード上の好きなマスに置くことができます。
空いていても、5個のパイルの上でも可能です。
そのため発生した、捕獲と確保は同じように行います。
■ゲームの勝利
自分の手番時に「支配」しているパイルが無く、「確保」した駒も無ければ、ゲームオーバー。
相手の勝利となります。
つまり、言い方を変えれば、移動や駒を出すことができない状態は負けとなります。
と、ルールは非常にシンプルなのですが、やってみると面白い。
また、様々なゲーム好きから研究された題目のようで、
「後手」が「先手」の移動を「模倣」してしまうと厳しいのでは?と指摘が出ていたようです。
そういった質問に対しては
いわゆる、「千日手」はご法度です。
フォーカスはチェスと異なり、後手プレイヤーが少し有利なので、
決着がつかない場合(引き分けはほぼあり得ないようだが…。)は先手の勝利としている。
フォーカスのアレンジルール
1つのアレンジとして、
プレイヤーはゲームの初めに自分の駒1つと相手の駒1つの位置を交換し合う。
ただし、後手が元の位置や左右対称になるような交換は禁止。
というのも、提案されています。先手、後手の不利を解消するアレンジですね。
また、短時間で勝負をする場合の勝利条件も紹介します。
・相手プレイヤーの駒を先に6個以上「捕獲」したプレイヤーが勝利する。
ゲーム内容がシンプルながら、非常に刺激的はアレンジの幅があるのが魅力的だ。
■まとめ
今回はシドサクソンの『フォーカス』を紹介しました。
代用できる駒やボードがあれば楽しむことができるゲームです。
もちろん、市販品を買うのが一番ですが…。
自分で用意するのも意外と愛着が湧きますよ!
調べていくうちに、NOCCA×NOCCAのアレンジを学生時代やっていたことを思い出しました。
短縮版のアレンジをシドサクソンが考えていたことを知ると
勝手ながらに拙く紹介した短縮版アクワイアを思い出して、
つい、うれしくなってしまいました。
遊びの中でのルールの変化はいくつになっても魅力的ですね。
ではまた次回。ごきげんよう。
別データの追加
「支配」と「確保」が分別できるようにしました。画像データですのでA4サイズで印刷しましょう。
3人プレイの配置とルール
プレイヤーが3人いる場合はこのような配置でスタートになります。
それぞれコマは13枚づつ必要です。
時計回りの順で始めます。コマはもう1枚づつ必要です。写真では12枚しかありませんね?
順番に空いているマスにコマを配置してからゲームスタートになります。
その後のルールは一緒です。
4人プレイ(個人戦)
プレイヤーが4人いる場合はこのような配置でスタートになります。
全てのマスを使います。
変更点は、手番において、移動ができないプレイヤーは脱落せずに手番をパスします。
ゲーム終了か再び移動可能になるまではパスします。
プレイヤーのうち3人が確保駒もなく、動けない場合は1人のプレイヤーが勝利となります。
ペア戦もありますが…それは是非ゲーム大全を買って読んでください(笑)
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